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小説現代新人賞受賞の注目作家・神津凛子によるデビュー小説を、俳優の斎藤 工が映画監督・齊藤 工として手掛けた『スイート・マイホーム』が現在大ヒット公開中。9月9日(土)には大ヒット御礼舞台挨拶が都内映画館で実施され、齊藤 工監督と出演者の蓮佛美沙子、里々佳が参加した。
公開から1週間が経過し、この日も満員御礼で迎え、舞台挨拶開始前に挙手で回答を求めると、既に複数回観ている人も多く、中には「公開を待ちわびていた」と韓国からこの舞台挨拶のために来日したという齊藤 工監督のファンもいた。
海外の映画祭を含めて各地でPR舞台挨拶を続行中の齊藤監督は「早いもので映画公開から1週間……」としみじみするかと思いきや「いろいろな舞台挨拶を通して気づきましたが、自分の声が低すぎて眠くなる。まるで自分の角で死ぬサイみたい。年々声が低くなっているので、いつかこの声で死ぬのではないかと思う」とジョーク。すると蓮佛は「実は私も監督の第一印象は“眠くなる”でした! でも監督の声はすごく心地が良くて、副交感神経系が良い感じになって来るんです」と齊藤監督のイケボを絶賛し、里々佳も「現場でも落ち着く声だったので温かみを感じました」と癒されたようだった。
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賢二(窪田正孝)の妻で暖かい新居への移転を夢見ている清沢ひとみ役の蓮佛。背筋が凍るような蓮佛のラスト・カットについて齊藤監督は、韓国映画『殺人の追憶』(2003)のラスト・カットと比較しながら「見るたびに恐ろしいと思ったけれど、このラストの蓮佛さんを突きつけたいと思った。見たくないけれど見たい……。そんな不思議な感覚でした」と回想。これに蓮佛も「最初はワンテイク目でOKが出たけれど、齊藤監督からは『蓮佛さん史上最低な顔をしてほしい』とリテイクの指示を受けてワクワクした。本能的に出た私の中の最低な顔とひとみの中の最低な顔が本編で使用されている表情です。自分の想像の枠を超えた部分を演出してもらって、自分でもこんな顔をしていたのかと驚きました」と舞台裏を明かした。
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賢二が働くスポーツジムのインストラクター・原友梨恵を演じた里々佳。いずれ家庭を持ち「良いお母さん」を夢見る役どころだが「演じる上では自分の欲望だけを考えていました。撮影の準備期間はわがままに生活をしようと思って、言いたいことを言って人の話を聞かなかった。その期間中に私と会った人は、私に対していい印象がないかもしれない」と苦笑い。齊藤監督は「被害者が出ていますね……」と熱の入った役作りに舌を巻いていた。
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また一番好きなシーンの話題になると里々佳は「蓮佛さんの最後のシーンは印象的でしたが、何気ない風景を捉えたような引きの画も好き。この作品の怖さは、ジワジワといつの間にか浸食されていくようなところにあるから」とピックアップ。一方、蓮佛は賢二(窪田)の取り調べシーンを挙げて「あの時の表情が好き。車の中で刑事から取り調べされているところの応酬も含めて、皮膚で芝居するってこういうことなんだと思った。もはや毛穴が賢二みたいな。それくらい衝撃を受けました」と独特な言い回しでお気に入り場面を挙げた。齊藤監督はベテランカメラマンの芦澤明子の撮影センスに触れながら「ロジカルかつライブ感を持って撮られていく画に興奮しました。また賢二たちが住宅展示場に入っていく様子をハイスピードで捉えたシーンは、住宅展示場が魔界の入り口にように見えた。演者もさることながら素晴らしいクルーの皆さんに感動を覚えました」とスタッフ&キャストに感謝していた。
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最後に齊藤監督は「里々佳さんが焼いて焦げた干物の灰、蓮佛さんが捌いてくれた内容量の多いタラ、さまざまな十字架など、僕の中では意味と意図を持ったものがたくさん出てきます」とこだわりに胸を張りながら「総じて自分が愛でる映画というものはお客さんを信じているものだと思っています。この映画を作った時間とは、原初的な人間という物体を捉えたものをそぎ落としながら、そこに挑んだ時間だったと思います。作品の寿命を決めるのは観客の皆さんです。ある種の責任を背負っていただき、この作品に何か感じるところがあれば周りの方に勧めていただきたいです。映画界の現状は切実です。希望ある未来に向かうためにも、この映画をこれからも応援してください」と熱っぽく呼び掛けていた。
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登壇者:齊藤 工監督、蓮佛美沙子、里々佳
公開表記
配給:日活・東京テアトル
絶賛公開中
(オフィシャル素材提供)