インタビュー

『輝ける女たち』クリストファー・トンプソン&ジェラルディン・ペラス 単独インタビュー

©2006 SBS FILMS EDEL WEISS SRL FRANCE2

観客の皆さんに笑って泣いていただきたい。それこそ、映画の成功以上に僕らが願っていたことなんだ

 南仏ニースにあるキャバレー“青いオウム”のオーナーの死をきっかけに、疎遠になっていたファミリーが再び集まることに。華やかでノスタルジックなキャバレーを舞台に、過去と向き合わざるを得なくなった人々の葛藤と和解を温かな眼差しで描いた『輝ける女たち』。フランスを代表する豪華スターが競演する本作は、2007年フランス映画祭のオープニング作品にも選ばれ、一般公開を前に、俳優として活躍しながら本作で脚本家を務めたクリストファー・トンプソンと、父親と理解し合えない娘という重要な役を演じたジェラルディン・ペラスが来日。私生活では夫婦でもある二人が、揃ってインタビューに応えてくれた。

クリストファー・トンプソン

 1969年生まれ。祖父は映画監督のジェラール・ウーリー、祖母は女優のジャクリーヌ・ロマン、母は脚本家・映画監督として活躍中のダニエル・トンプソンという、芸能一家の出身。1989年、ロベール・アンリコ監督の映画『La Revolution francaise(訳題:フランス革命)』で俳優デビュー。セザール賞最優秀有望男優賞にノミネートされたエリ・シュラキ監督の『メランコリー』(93)、ジョゼ・ダヤン監督のTV映画『モンテ・クリスト伯』(98)、『レ・ミゼラブル』(2000)などに出演。母ダニエルが監督を務めた『ブッシュ・ド・ノエル』(99)では出演と共に、母と共同脚本を担当。セザール賞最優秀脚本賞にノミネートされた。その後も、同賞にノミネートされたジャン・レノとジュリエット・ビノシュ共演のコメディー『シェフと素顔と、おいしい時間』(02)、出演もしている群像劇『Fauteuils d’orchestre(訳題:オーケストラ・シート)』(06)でも母と共同で脚本を担当している。また、『Une Vie a t’attendre(フランス映画祭横浜2004上映時のタイトル:あなたを待つ人生)』(04)と本作では、脚本家としてティエリー・クリファ監督と組んでいる。妻ジェラルディン・ペラスと共演しているヴァンサン・ディーチー監督のコメディー『En visite(訳題:訪問中)』が公開待機中。

ジェラルディン・ペラス

 1971年1月8日、フランス・マルセイユ生まれ。ジャン・ジャック・ベネックス監督、イヴ・モンタン主演の話題作『IP5 愛を探す旅人たち』(92)で注目される。その後、『調教師』(94)、ジョニー・デップ、マーロン・ブランド共演の『ドンファン』(95)、モーリス・ピアラ監督、ジェラール・ドゥパルデュー主演の『パパと呼ばないで』(95)、ダニエル・オートゥイユ共演の『見えない嘘』(2001)、本作の監督ティエリー・クリファの初長編作品『Une Vie a t’attendre』(04)などに出演している。ジェラール・ランヴァンと夫婦を演じているコメディー『Le Prix a payer(訳題:払うべき代償)』が4月4日にフランスで公開されたばかり。大ヒット・コメディーの続編『Les Randonneurs a Saint-Tropez(訳題:サントロペでハイキングする人たち)』と、夫クリストファー・トンプソンと共演のコメディー『En visite』が待機中。

まず打ち明けますが、私はもちろん、お二人を存じ上げていましたが、ご夫婦だとは知りませんでした。

ジェラルディン:(笑)無理もないわ。実際、知っている人は少ないもの。

クリストファー:僕らは一緒に仕事をするけど……

ジェラルディン:二人のことは決して話さなかったから。

クリストファー:だからずっと、知られていなかったんだよね。

フランスでもそうだったのですか?

クリストファー:そう。一緒に仕事もするし、現場で話もする。それは自然なことだからね。でも、僕らが夫婦であることは口外しなかったんだ。

ジェラルディン:夫婦であることが知られたところで、仕事上の関係が変わるわけじゃないんだけど、私生活を明かすつもりはなかったの。

クリストファー:別に隠していたわけではないんだ。ただ、積極的に話すつもりもなかったんだよ。

私がどこでそれを知ったか、お分かりになりますか?

クリストファー&ジェラルディン:Non! どこで?

IMDB(Internet Movie Database)です。

クリストファー:な~るほど! 驚いたね。IMDBには何でも知られてしまっているわけだ(笑)。

ジェラルディン:ホントよ。何かを検討している最中でさえ、すでに知られてるの(笑)。

クリストファー:そう、こちらが承諾する前から、もう載っているからね。信じられないよ。すごいネットワークだ。

ジェラルディン:(クリストファーに向かって)ほら、あなたのお姉さんのことだって……。彼のお姉さんのキャロリーヌは今、精神科医なんだけど、ソフィー・マルソーが主演した映画『ラ・ブーム』(1980)と『ラ・ブーム2』(82)にエキストラで出演したことがあるのよ。ワン・シーンに出ただけなのに、IMDBにはちゃんと載ってるの! 彼女自身、驚いてたわ。

クリストファー:じゃあ、あなたはいろいろなサイトを探したんだね?

ええ、というのは最初、「脚本家のクリストファー・トンプソンとその奥様のインタビュー」と言われたんです。“え、奥様……って?”と思いまして(笑)。

ジェラルディン:やだ、すっごいおかしい(爆笑)!

知り合いのフランス人たちにも聞いたんですよ。

クリストファー:誰一人知らなかったでしょう? 無理もないだよ。

脚本はクリストファーさんがティエリー・クリファ監督と共同で書かれたんですよね?

クリストファー:そう、ティエリーと仕事をするのはこれが2作目なんだ。1作目は彼が初めて監督を務めた『Une vie a t’attendre』で、ジェラルディンも出演している。ティエリーとはとても親しい間柄で仲の良い友達だから、一緒に仕事をするのはいつだって、とても楽しいよ。3作目も一緒に準備しているんだ。

これだけの俳優が集まったというのは、まさに脚本の力だと思いますが、それぞれの俳優は最初から念頭にあったのですか?

クリストファー:確かに、映画が成功する鍵は脚本の良さにかかっていると思う。特に、スタート地点においては何よりも大切だ。脚本はまさにバイブルであり、作品の土台となるものだからね。その上に役者の才能が加わり、より強い土台を築き上げることになるわけだ。
で、ティエリーと本を書いている間に、理想的な配役についてはしょっちゅう二人で語り合っていた。だから、あなたのご質問に答えると、それは「Oui」だ。そして、とてもラッキーなことに、僕たちが最初から出演を願っていた俳優たちは全員引き受けてくれた。特に、ジェラルディン。マリアンヌは彼女のために書いた役だったからね。彼女は誰よりも最初に僕の脚本を読んでくれる人だし、同時に一番厳しい批評をしてくれる人でもあるから(笑)、出演を承諾してくれて本当にうれしかった。

では、ジェラルディンさんはこの脚本を気に入ったからこそ、出演を受けられたわけですね?

ジェラルディン:もちろん、私がこの作品に出演したいとすごく思ったのは、ただ単にクリストファーとティエリーが私に役をオファーしたということだけではないわ。ただ、役柄やシナリオに引っかかりがあったとしても、話し合いをして解決できていたとは思うけど。今回に関しては、脚本を読んで、特別な喜びとうれしい驚きを感じることができたの。実はそれまで、彼らがどんな物語を書いているのか知らなかったのよ。こういう役柄をもらえたことに、二人には感謝したわ。マリアンヌはとてもダイナミックで、率直な物言いをする女性よね。こうしたタイプの女性は以前にも演じたことがあるけど、その映画を観客と共に劇場で観たことがあって、私がせりふを言うたびに観客が笑うのを目の当たりにしてすごくうれしかった思い出があるの。観客からそういう反応を得られるのはとても幸せなことだったわ。今回も脚本を読んですごく笑えたし、これはまさに二人から私に贈られたプレゼントだと感じた。そのことに対してとても感謝したし、心から楽しんで演じたいと思ったの。

笑えると同時に涙も流せますし、とても美しいお話ですね。

クリストファー:そう言っていただけるのはとてもうれしいね。観客の方々にそう感じていただきたいというのは、映画が成功する以上に僕らが願っていたことなんだ。まさに笑いと涙が混ざり合った物語だね。

ジェラルディン:深刻な部分もあるけど、微笑みをもって語られているのよね。

クリストファー:涙と共に笑いがあるのは、まさに人生だよ。

ジェラルディン:そうかしら?

クリストファー:そうだよ。人生は喜劇でもあり悲劇でもあるだろ?

ジェラルディン:でも、悲劇的で全く笑えない人生だってあるんじゃないかしら? 人間関係においては、軽く受け流せないような厳しい現実に直面せざるを得ないこともあるし、完全に否定されてしまうこともある。不幸なことだけど、全く面白みがない現実の中で生きていたり、どうしようもなく暗い状況から抜け出せないということもあるわ。

クリストファー:人間関係、とりわけ家族の中の人間関係はときにすごく痛々しく、苦しみが伴うこともあるね。意思の疎通がうまくいかなかったりして。でも、僕はそうした状況の中にも喜劇はあると思うよ。

ジェラルディン:日本の小津安二郎監督は最もうまく、そうした家族の問題を描いていると思うわ。監督の映画の登場人物はいつも優しい微笑みを浮かべていて、表面的にはとても穏やかに見えても、心の中ではさまざまな葛藤や悲しみを抱えていたりする様が描かれているわね。例えば、『秋刀魚の味』では、父親は娘をお嫁に出したいんだけれども、娘はそれが悲しくて……といった姿には本当に心打たれるわ。

クリストファー:でも、同時におかしくもあるよね。

ジェラルディン:そうね、おかしくもある。そんなに絶望的にならなくても……なんて(笑)。

今回はたくさん素敵なせりふがありましたが、個人的に一番心に残ったのは「esperer est souffrir(期待することは苦しむこと)」でした。これこそ、人生を物語っている気がします。

クリストファー:それは僕も大好きなせりふだよ。ただここでは、特別な意味を担わせている。もちろん、一般的に解釈することもできるけど、エマニュエル・ベアールが演じたレアの人生に結びつけたせりふなんだ。このキャラクターは僕たちも書いていてとても楽しかったし、創造している僕たちでさえ、心打たれるような女性だった。というのは、彼女はいわば芸の世界にいて、自分の仕事に情熱を持っている一方で、自分が追い求めている成功は絶対に手に入れることはできないんだよね。それでも彼女は毎夜、キャバレーで歌い続けているんだ。

ジェラルディン:そして彼女自身、それより上には行けないと分かっているのよね。

何かを期待すると、やはりなかなか自分が求めるところまでは行かず、失望することが多いですね。それが「souffrir(苦しみ)」に通じると思います。

クリストファー:そうだね。あらゆる欲望には、それが満たされないフラストレーションと失望というリスクが伴うものだ。それでも、望み続けるのは大切なことだと思うよ。

ジェラルディン:あと、「期待することは苦しむこと」というせりふが重要なのは、この映画にはさまざまな対立項があって、それを象徴しているからだと思うわ。ここには、レアやニッキーが生きている夜のキャバレーの世界と、ニノとマリアンヌ兄妹が属する、芸人たちをちょっと軽蔑しているスタイリッシュな黒い服を着たパリジャンたちの世界の間の相克がある。だから、この両者の対立関係を、「希望」と「苦しみ」という言葉はまさしく象徴していると思うの。
それにしても、マリアンヌってホントに“優しい”女性よね(笑)!

女性たちがとても力強く生きようとしていて、その中心にいるのがニッキーで、彼は子供のまま年を取ったような男性ですね。彼と女性たちの関係をどのようにお考えになりましたか?

クリストファー:ニッキーは確かに、子供のまま大人になることを選んだ男性だ。一方でそれは、彼を甘やかした父親的存在のガブリエルのせいでもある。一度は成功を手にした芸人であり、自分中心で生きてきたから、大人になりきれなかった人物なんだ。この映画は、そんなニッキーが成熟するまでを描いているともいえる。彼が大人になって、父親になって、最後にはおそらく家族の長、そしてヒーローになる物語なんだ(注:原題は『一家のヒーロー』)。それに伴って、女性たちとの関係も変わっていく。最終的には彼女たちから敬意を得ることができるんだ。愛されているわけではないけどね(笑)。

ジェラール・ランヴァンさんは俳優としても男性としてもとても魅力がありますが、彼がお父さんであるというのはどんな感じでしたか?

ジェラルディン:うれし~! “お父さん”って日本語が分かった(笑)!!
ジェラール・ランヴァンは、一人の男性としてはよく知らないけれど、役者としてはものすごく魅力的だし、演技がとても繊細なの。彼にしかないものを持っているユニークな俳優だわ。というのは、すごく滑稽で、男としてはほとんど屈辱的ともいえる役柄を演じたとしても、何とも言えない魅力があるのよ。そういう演技ができる俳優は稀だわ。
初日の撮影でジェラールと会ったとき、私はとても感動したの。脚本を読みながら、父親としての彼を想像していたので。とっても不器用で、父親として子供に接したいのにどうしたらいいのか分からず、まともに話もできなければ、子供のやること成すことが気に入らないという父親を演じている彼がものすごく見たかったの。それに私は、撮影直前に本当の父親を亡くしていたので、実際の父親と映画の中の父親の姿が重なり合って、何とも言えない気持ちだったわ。でも、パパに冷たい娘を演じるのは最高に楽しかった(笑)!
この撮影が終わった1ヵ月後、次の映画『Le Prix a payer(訳題:払うべき代償)』ではジェラールの妻役を演じたの(笑)。すごく複雑な心境だった。だって、彼の娘役が本当に気に入っていたから(笑)!
実は私、映画の中で初めて誰かの娘を演じたのよ。それまでは妻とかの役ばかりだったけど。娘を演じるというのは、とても特別な感じがあったわ。この映画の後もまた、娘役を演じる機会があったのよ。考えてみたら、親が亡くならない限り、私たちは年齢とは関係なく、誰かの子供であり続けるのよね。ちょうど私は父親を亡くしたばかりだったということもあったので、そういう意味でも誰かの娘を演じることができてうれしかったわ。

ランヴァンさんの娘役というのは、年齢的には不自然じゃないですね。

クリストファー:それについてはよく考えたからね(笑)。

ジェラルディン:確か、21歳違いよね?

クリストファー:若いパパだよ。

クリストファーさんは今回、俳優として出演しようとは思われなかったのですか?

クリストファー:今の質問、日本語でも分かったよ(笑)!

ジェラルディン:ホント、ホント(笑)!

クリストファー:映画の中で演じることはますます好きになってきているし、それは自分が脚本家としてかかわっている映画についても同じことだけど、ただ、自分が脚本を書いた作品の場合は脚本家に徹した方がいいんじゃないかなとも思っているんだ。自分が書いているからといって、自分の役を作る必要はないしね。今回も僕に適した役柄がなかったんだ。でも、別の機会にはやってみようかな。

脚本家と俳優の両方をやっていると、それぞれの仕事に対する理解は深まる気がしますか?

クリストファー:この両者は基本的に立つ位置が違うんだ。もちろん、書いているときにはその役柄を表現し尽くしているわけだよね。で、役者としてカメラの前に立つときには、演じる人物に対する視点が全然違っているんだ。役者として衣装を身につけた途端、その時点で別の視点になる。

ジェラルディン:脚本家が想定していたのと全く違った役柄にしたっていいのよね?

クリストファー:そう。役者が新たに創造してもいいし、全く新たな視点で役柄に別の要素を付け加えることもできる。むしろ、それは大切なことだよ。それともう一つ大切なのは、共演者たちとの関係性において、自分の役柄も初めて生きたものにできるということだ。共演者とはさまざまなものを分かち合えるものだよ。

監督はなさらないのですか?

クリストファー:念頭にはある(笑)。

ジェラルディン:これまでで一番短い返事ね(笑)。

クリストファー:(笑)いつかはやってみたいよ。まあ、そのときが来たら。

ジェラルディン:“桜の花咲くとき”ね。

クリストファー:(日本語で)“サクラ”ね(笑)。

最後に歌っていらっしゃるジェラルディンさんは、本当に輝くばかりの美しさでしたが、あのときはどのような心境でしたか?

ジェラルディン:それが、すごく複雑な気持ちだったのよね。歌(「La Rose」)はそれ以前に録音していたので、歌うことに対しての不安はなかったんだけど、この映画の中におけるあのシーンの重要性を考えると、私としては絶対に失敗するわけにはいかなかったの。だから、とても大変だった。苦しみと和解を経験した全ての人々にとって、新たな出発を告げる象徴的なシーンで、あのときの私はいわば全員の思いを体現するような役割にあったから。みんなにとっての救済の瞬間だったのよ。
 何より難しかったのは、私自身感情的になっていたので、その感情に流されすぎないように自分を抑制しなければいけなかったことね。それに、あのクライマックスのシーンではみんなが登場するわけだけど、撮影はそれぞれ別だったから、私は何度も歌わなくてはいけなかったの……(笑)。それも大変だったわ。まず、エマニュエル・ベアールの前で歌ったし、ダンサーたちとヴァレリー・ルメルシエの前で歌ったし、ジェラール・ランヴァン、カトリーヌ・ドヌーヴの前でも歌ったわ。毎回、すっごく怖かった(笑)!

クリストファーさんは、そんなジェラルディンさんの様子をご覧になって、いかがでしたか?

クリストファー:僕はこのシーンの撮影初日には行けなかったんだ。その後、現場に行ったときには、彼女はすでに何度かテイクを重ねた後だったんだけど、僕にとっては初めての光景だったから、やっぱりすごく感動したよ。

ジェラルディン:みんなにとっても、“「La Rose」のシーン”は特別だという意識があって、撮影中の一大イベントだったの。

クリストファー:大円団を迎えた瞬間だったからね。

キャバレーですとパリもあり得たと思いますが、舞台がニースだったことははやり、重要でしたか?

クリストファー:それはとても重要だった。パリではなく、地方である必要があったんだ。僕の中ではニースはちょっと、時代から取り残されている感じがある。また、ニースである必要があったのは、北アフリカからの(アルジェリア)移民が多い町だからなんだ。かつて移民たちは、南仏にたどり着いてニースに居を定めた。つまり、ニッキーはその一人なんだよ。

最後に、これから映画をご覧になる方々に向けて、メッセージをいただけますか?

クリストファー:『輝ける女たち』をぜひご覧いただきたいね。気に入っていただけるとうれしいな。笑って泣けると思うよ。

ジェラルディン:本当に、感動していただけるとうれしいわ。それに……映画が大成功したら、また日本に戻ってこられるもの(笑)!

 とにかく、驚いた。フランスの俳優については結構詳しいつもりだったが、このお二人が夫婦だとは夢にも思わなかった。というか、フランスでも知っている人は少ないというのだから、無理はないか。そのお二人を一緒にインタビューできるなんて、本当に良い機会を与えていただけた。45分という長さを感じないほど楽しくお話を伺えたが、それにしても、しょっちゅう意見が食い違い、ちょっとした言い合いを始めるお二人。これぞまさしく、人と反対のことを言わなければ気の済まないフランス人のカップル。それでも、ひとしきり言い合った後は顔を見合わせてニッコリ。とってもすてきなご夫婦だ。ちなみに、この映画も「笑って泣ける」だけでなく、人生の滋味を感じさせる、心に沁みる美しい物語なので、ぜひ劇場でご覧いただきたい。
 今、フランスでは人気と評価の高いジェラルディン。私の大好きなブノワ・ポールヴールドと共演し、フランスで大ヒットしたコメディー『Les Randonneurs(訳題:ハイキングする人たち)』(97)の続編『Les Randonneurs a Saint-Tropez(訳題:サントロペでハイキングする人たち)』をこの夏、撮影するらしい。1作目が大好きだったと言うと、「ホント!? 続編をもって、また日本に来たいわ!」とジェラルディン。つい、「ブノワと一緒ね」と付け加えてしまった。「また、次回も会いましょうね」とおっしゃってくださったお二人、本当に実現するといい。

(取材・文・写真:Maori Matsuura)

『輝ける女たち』作品紹介

 ニースにあるキャバレー“青いオウム”のオーナーであるガブリエルの突然の死。葬儀後、彼の遺言により、小さな誤解から疎遠になっていたファミリーが再び集まることに。ガブリエルを父のように慕い、昔一世を風靡したマジシャンのニッキーの予想に反して、“青いオウム”の相続はニッキーではなく、彼の子供たちの手に渡る。そんな“青いオウム”で人気の歌姫レア、かつてニッキーを愛した元妻アリスとシモーヌ。彼女たちもガブリエルの死をきっかけに、それぞれが過去に置いてきた秘密や今抱えている問題を見つめ直し忘れかけていた本当の自分らしさに気づく。

原題:Le Heros de la Famille、2006年、フランス・イタリア合作、上映時間:103分)

キャスト&スタッフ

監督:ティエリー・クリファ
脚本:クリストファー・トンプソン、ティエリー・クリファ
出演:ジェラール・ランヴァン、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ミュウミュウ、ジェラルディン・ペラス、ミヒャエル・コーエン、ヴァレリー・ルメルシエ、クロード・ブラッスールほか

公開表記

配給:ムービーアイ
2007年4月14日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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