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ハンガリーの至宝 メーサーロシュ・マールタ監督特集上映 監督インタビュー映像メッセージを公開!

© National Film Institute Hungary Film Archive

 ハンガリーが誇る映画監督の一人であり、女性として初めてベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたメーサーロシュ・マールタ。
 その後も、カンヌ国際映画祭での受賞歴をはじめ国際的な評価を得ながらも、彼女の作品はいずれも日本では劇場未公開。
 女性の主体性を脅かす社会の相貌にカメラを向けてきたメーサーロシュ。その誠実なまなざしが、時代を超え、今ここに。

 5月26日(金)より新宿シネマカリテほか全国にてメーサーロシュ・マールタ監督特集上映が公開される。
 女性監督としてハンガリーで初めて長編映画を製作したメーサーロシュ・マールタ Mészszáros M Márta、1931/9/19~)。アニエス・ヴァルダやヴェラ・ヒティロヴァらと並ぶ、極めて重要な作家でありながら、これまで日本では1985年の第1回東京国際映画祭「映画祭の映画祭(世界主要映画祭受賞作)部門」で「Diary for My Children」が上映されたことを除いて上映の機会に恵まれず、本特集で上映される作品はいずれも日本初公開となる。近年、初期作品の修復が進み、ベルリン、カンヌ等の国際映画祭で上映され世界的にも再評価が進んでいる。
 一貫して選択する女性たちの姿を描き続けてきたメーサーロシュの作品たちは、現代の日本にも通ずるものがあり、映画が作られてから50年が経った今の時代にこそ見直す必要があるのではないだろうか。この度、本特集の公開を記念して、2019年に開催された第69回ベルリン国際映画祭でのインタビュー映像が公開された。本インタビューは、1975年第25回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した『アダプション/ある母と娘の記録』の修復版が、およそ40年の時を経てベルリナーレ・クラシックにて上映された際に撮影されたものだ。
 インタビューでは、多くの社会主義国が参加した映画祭での出来事や製作当時のハンガリーの社会情勢、メーサーロシュ作品に出演した俳優たちの演技について、そして映画監督であるヤンチョー・ミクローシュとの思い出などを語っている。

 そして、日本での初公開にあたり監督から観客に向けてメッセージが届いた。

親愛なる日本の友人たちへ

 2023年に日本で私の映画を上映していただけることは、大きな喜びであり光栄なことです。これらの映画は私自身と同じくとても古い映画ですが 、自分の作品が新しい世代の中でも生きて楽しんでもらえることは特別な喜びです。
 1980年代のある時期、私は東京国際映画祭のゲストとして日本に滞在していました。正確な年やどの作品で参加したのかは覚えていませんが、年齢に免じてご容赦ください。ですが観客が映画を理解し敏感に反応してくれたこと、そしておもてなしが素晴らしかったことはよく覚えています。私たちのために素敵な小旅行を企画してくださったおかげで、あなたたちの魅力的な国と文化を垣間見ることができました。
 私はずっと日本という国について、そして日本映画に興味を抱いてきました。黒澤は私にとって師匠であり、多大な影響を受けました。
 古い映画を見つけてくれてありがとう。自由の問題も女性の状況も私が映画を撮った頃からあまり良くはなっていないのですから、これらの作品はきっと、今の時代にも有効でしょう。
 映画を観て、考えて、語り合ってください。

 敬具
  メーサーロシュ・マールタ
  2022年11月20 日、ブダペシュトにて

監督:メーサーロシュ・マールタについて

 1931年、ハンガリーの首都ブダペシュトに生を受ける。ファシズムが台頭する戦間期、両親とともにキルギスへ逃れるも、父親はスターリンの粛清の犠牲となり、その後、母は出産で命を落とした。ソヴィエトの児童養護施設に引き取られ、戦後ようやくハンガリーへ帰郷する。
 1968年から長編映画を撮り始める。残酷な社会のなかで日々決断を迫られる女性たちの姿を描きながら、ファシズムの凄惨な記憶や、東欧革命の前兆であるハンガリー事件の軌跡など、そのまなざしは暴力と化す社会の相貌をも見逃さない。
 1975年の『アダプション/ある母と娘の記録』は、第25回ベルリン国際映画祭において女性監督としてもハンガリーの監督としても史上初となる金熊賞受賞の快挙を成し遂げた。その後もカンヌ国際映画祭をはじめ数々の国際映画祭で受賞を果たし、同時代のアニエス・ヴァルダらと並び、もっとも重要な女性作家としての地位を確立した。最新作は2017年の「Aurora Borealis:Northern Light」。

上映作品

『ドント・クライ プリティ・ガールズ!』

© National Film Institute Hungary Film Archive

 (英題:Don t Cry, Pretty Girls!、原題:Szép lányok, ne sírjatok!、1970年、ハンガリー、上映時間:89分、2Kレストア)

 監督:メーサーロシュ・マールタ
 脚本:ズィムレ・ペーテル
 脚本監修:ビロー・イヴェット 
 撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
 出演アーティスト:Metro、Illés、Kex、Sziriusz、Tolcsvay Trióほか
 出演:ヤロスラヴァ・シャレロヴァー、ザラ・マールク、バラージョヴィチ・ラヨシュ

イントロダクション
 ビート・ミュージックのファンである若者たちは、うだつの上がらない日々を工場での労働に費やしている。ユリは不良青年のうちのひとりと婚約しているのだが、とあるミュージシャンと恋に落ちた。ギグを開くという彼とともに、ユリは小旅行へ出かける。しかし嫉妬深い婚約者と彼の不良仲間たちは執拗にふたりを追いかけ……。
 溢れんばかりのビート・ミュージックとともに、当時の息詰まるような社会の閉塞性がたしかに刻印された、珠玉の音楽逃避行劇。

『アダプション/ある母と娘の記録』

© National Film Institute Hungary Film Archive

 (英題:Adoption 原題:Örökbefogadás、1975年、ハンガリー、上映時間:88分、PG12、4Kレストア)

 監督:メーサーロシュ・マールタ
 脚本:メーサーロシュ・マールタ、ヘルナーディ・ジュラ、グルンワルスキ・フェレンツ
 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
 撮影監督:コルタイ・ラヨシュ
 出演:べレク・カティ、ヴィーグ・ジェンジェヴェール、フリード・ペーテル、サボー・ラースロー

イントロダクション
 43歳のカタは工場勤務の未亡人。彼女は既婚者と不倫関係にある。カタは子どもが欲しいのだが、愛人は一向に聞き入れない。とある日カタは、寄宿学校で生活するアンナと出会い、彼女の面倒を見ることにした。次第にふたりは奇妙な友情を育んでいく。
 メーサーロシュの名を一躍世界に知らしめた記念すべき作品。家父長制すら歯牙にもかけぬ主人公たちの親密さを、決して見逃してはならない。

『ナイン・マンス』

© National Film Institute Hungary Film Archive

 (英題:Nine Months、原題:Kilenc hónap、1976年、ハンガリー、上映時間:94分、R15+、4Kレストア)

 監督:メーサーロシュ・マールタ
 脚本:ヘルナーディ・ジュラ、コーローディ・イルディコー
 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
 撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
 出演:モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ

イントロダクション
 ユリは工場勤務の傍ら、農学を学んでいる。工場の上司は彼女と恋に落ちる。ユリは彼に誠実な関係を望むいっぽう、前パートナーとの間に子どもがいる事実を隠している。やがて彼女の秘密は明らかになるのだが、上司は子どもの存在を受け入れるだけの心の準備ができておらず……。
 ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせたメーサーロシュが、作為性や修飾を極限にまで削ぎ落した「真実」の記録。

『マリとユリ』

© National Film Institute Hungary Film Archive

 (英題:The Two of Them;原題:Ők ketten、1977年、ハンガリー、上映時間:98分、4Kレストア)

 監督:メーサーロシュ・マールタ
 脚本:コーローディ・イルディコー、バラージュ・ヨージェフ
 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
 撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
 出演:マリナ・ヴラディ、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ

イントロダクション
 マリの夫は偏狭な男で、ユリの夫はアルコールに依存している。彼女たちはつらい夫婦生活を乗り越え、慰めを求めあう。互いの葛藤を知ったふたりは、それぞれの人生を歩むべく、ある決断をする。
 結婚生活に絡めとられる二人の女性の連帯を、厳しくも誠実なまなざしで捉えた精緻な秀作。

『ふたりの女、ひとつの宿』

© National Film Institute Hungary Film Archive

 (英題:The Heiresses、原題:Örökség、1980年、ハンガリー、フランス、上映時間:105分、4Kレストア)

 監督:メーサーロシュ・マールタ
 脚本:コーローディ・イルディコー、メーサーロシュ・マールタ
 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
 撮影監督:ラガーイ・エレメール
 出演:イザベル・ユペール、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ、ペルツェル・ズィタ、サボー・シャーンドル

イントロダクション
 1936年。ユダヤ人のイレーンは、裕福な友人・スィルヴィアからある相談を持ち掛けられる。スィルヴィアは不妊に悩んでおり、イレーンに自身の夫との間で子どもをつくってほしいと言う。そうして生まれた子どもに莫大な財産の相続が約束されたのだが、彼らの関係は悪化の一途をたどる。その頃世界ではファシズムが台頭し……。
 幅広い文化圏の映画監督と協業を続けるイザベル・ユペールは、その最初期の重要な出演作として本作を挙げてる。この後メーサーロシュは「日記」四部作に代表される歴史映画を手掛けていくが、その契機としても見落とすことができない意欲作。

予告編

オフィシャル・サイト(外部サイト)

『メーサーロシュ・マールタ監督特集』公式サイト
映画人たちが慕う東欧の奇跡、日本初公開。女性初のベルリン国際映画祭金態受賞作品をはじめレストアで蘇った貴重な5作品を一挙上映!

 Twitter:@MeszarosMartaJP

公開表記

 配給:東映ビデオ
 後援:駐日ハンガリー大使館/リスト・ハンガリー文化センター
 2023年5月26日(金) 新宿シネマカリテほか全国にて順次公開

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