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『大いなる不在』第48回トロント国際映画祭《コンペティション部門》ワールドプレミア上映

© 2023 CREATPS

 カナダ・トロントで開催中の第48回トロント国際映画祭にて、現地時間9/10(現地時間9/11)に、森山未來主演、近浦 啓監督の『大いなる不在』のワールドプレミア上映が、メイン会場TIFF Bell Lightboxで行われた。満員の観客が集まった会場で、キャストの森山未來、藤 竜也、原日出子と、監督の近浦 啓が、観客と一緒に作品を鑑賞。上映が終わると、会場の観客は、来場したキャストと監督を万感の拍手で讃えた。

 森山未來は、塚本晋也監督の『ほかげ』でヴェネチア国際映画祭へ参加した後、そのまま直行しトロント入りした。トロント国際映画祭への参加は、今回が初めて。森山未來は、ワールドプレミア上映を終えて「今日はお越しいただいてありがとうございました。ここに来ることができ、光栄です。僕が演じたこのキャラクターは、劇中でも役者です。フィクション、虚構の世界に役者というアビリティを持ちながら彼の物語に入っていく、そういうフローを楽しんでいたような気もします」とコメント。

 近浦 啓監督の長編一作目である『コンプリシティ/優しい共犯』以来の国際映画祭への参加となった藤 竜也は、「陽二という役に、私自身が完全にハイジャックされていたので、役作りはとてもスムーズでした。難しかったことはほとんど覚えていません」とコメント。また「この映画を観るのは、今日で2回目となりますが、直美、I’m sorry.」と、劇中で彼の妻「直美」を演じた原日出子に向かって、苦笑しながらお詫びする姿も見せた。海外から高く評価される大島 渚監督の『愛のコリーダ』などで主演し、海外でも人気の高い藤は、映画祭のポートレート撮影を担当した著名なフォトグラファーNorman Wong(ノーマン・ウォン)から、「私はあなたの長年のファンです」と撮影前に握手を求められるなど、国際的な知名度の高さを感じさせる局面が多くあった。

 また、国際映画祭への参加自体が初めてとなった原日出子は「今日はこのような素晴らしいフィルムフェスティバルにお招きいただき、本当にありがとうございます。撮影期間中に、同じような状況を私自身抱えていたこともあり、その気持ちをそのまま投影して、役を演じたというよりも直美を生きたというように感じています。皆さんの心に何か届けば嬉しいです」とコメントし、映画祭の雰囲気を楽しんだ。

 デビュー作に続き、長編2作目も同映画祭での初披露となった近浦 啓監督は、冒頭の挨拶で「温かく迎えていただき、ありがとうございます。光栄です。2018年に、観客の皆様の圧倒的なエネルギーに強く心を打たれ、また戻ってきたいと思いました。そして今、長編2作目を持って帰ってきて、他の9本の傑作と並びコンペティション部門にノミネートされました。これほど嬉しいことはありません」と挨拶し、感無量の様子だった。
 同映画祭のプログラミング・ディレクターのGiovanna Fulvi(ジョバンナ フルーヴィ)氏は、「近浦 啓は、この2作目の作品を経て、すぐに日本の次世代の巨匠の仲間入りをする作家であるという評価がされるだろう」と寄せ、大きな手応えを感じていた。

 米アカデミーの前哨戦として注目される本映画祭は、長らく非コンペティションの映画祭といわれていたが、2015年にコンペティション部門《プラットフォーム》を新設。本年は、第89回アカデミー賞®作品賞を受賞した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が、審査員を務めることでも注目されている。
 本作は、同部門にノミネートされた10作品の中から選出される「プラットフォーム・アワード」に加えて、すべての上映作品から選ばれる「観客賞」(ピープルズチョイス・アワード)の対象となっている。

 授賞式は、トロント現地時間9月17日(日)(日本時間9月18日)に行われる。また、その後は、9月22日(金)からスペインで開催されるサン・セバスティアン国際映画祭でもメイン・コンペティションにノミネートされ、ヨーロッパ初上映を迎える。『大いなる不在』は、2024年の日本公開を予定。

 登壇者:近浦 啓監督、森山未來(主演)、藤 竜也(出演)、原日出子(出演)、山崎 裕撮影監督

トロント国際映画祭について

催される1976年に創設された北米最大の映画祭。米アカデミー賞®の前哨戦といわれ世界から注目される。長らく非コンペティションの映画祭といわれていたが、2015年にコンペティション部門を新設。名匠ジャ・ジャンクーの監督作品名にちなみ「プラットフォーム部門」と名付けられた。芸術的価値が高く、力強く監督のビジョンを示している作品を中心に選出される。日本人監督としてこのコンペティション部門に招待されるのは、黒沢 清監督(『タゲレオタイプの女』2016)以来、近浦 啓監督が2人目となる。
 これまでの日本作品の受賞は、2003年に北野武監督『座頭市』が《観客賞》を受賞。2012年に園 子温監督『希望の国』が、《NETPAC審査委員賞》を受賞、2013年に園 子温監督『地獄でなぜ悪い』が《ミッドナイト・マッドネス部門/観客賞》を受賞、2019年園 子温監督『ひそひそ星』が《NETPAC審査委員賞》を受賞している。

キャスト&スタッフ

 監督・脚本:近浦 啓
 共同脚本:熊野桂太 
出演:森山未來、藤 竜也、真木よう子、原日出子 ほか
 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
 特別協力 北九州フィルム・コミッション
 製作:クレイテプス

 (2023年、日本)

公開表記

 2024年公開予定

(オフィシャル素材提供)

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