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映画『市子』の完成披露上映会が都内で行われ、キャストの杉咲 花、若葉竜也、森永悠希、中村ゆりとメガホンを取った戸田彬弘監督が舞台挨拶に出席して意気込みを語った。
本作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した人気舞台「川辺市子のために」を原作に映画化した。恋人からプロポーズされた翌日に忽然と姿を消した女性・川辺市子(杉咲)を主人公に、抗えない境遇に翻弄された市子の切なくも壮絶な人生が描かれる……。
市子を演じた杉咲は客席に目をやり、「感慨深いですね~」と上映の喜びをしみじみと噛みしめる。
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戸田監督は「1年前の酷暑、素敵なキャストに出演していただいてこの場で披露することができて嬉しい」と挨拶。
市子と3年間一緒に暮らしていた恋人・長谷川義則役を演じた若葉は「多くの人に届けたいという思いにさせられる作品です」とコメント。
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市子の高校時代の同級生・北 秀和役を演じた森永は「SNSで盛りあがっているのを見て、嬉しく思っています」。
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市子の母親・川辺なつみ矢を演じた中村は「作品を観た記者の方から、観終わった後にいろいろ調べたくなる作品だと言われて嬉しく思いました」と話した。
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出演のオファーに、杉咲は「今まで味わったことがない経験をさせてもらいました。市子を演じた時間は、引き裂かれるような痛みがあったと同時に、心が揺さぶられ、大切な記憶として多幸感に包まれた素晴らしい時間でもありました」と撮影を振り返る。また、脚本については、「市子っていう人は、穏やかな暮らしを求めて生きている人なのに、それを求めるということは、幸福であるということを知っているからだと思って。何を幸福と感じるのかっていうものが知りたいなと思いながら演じました」と話した。
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プロポーズの後に市子に失踪されてしまう長谷川役を務めた若葉は「NHKの朝ドラ「おちょやん」でも杉咲さんにプロポーズしたんですけど、いっつもうまくいかないな、って……。なかなか厳しいものですね」と苦笑い。
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森永は、市子について「衝動性の強い人だった」と評し、また、劇中で話す杉咲の関西弁をべた褒め。「日常生活の言葉まで関西弁にできる人はなかなかいない」と杉咲を絶賛した。杉咲はNHK連続テレビ小説「おちょやん」(2020年)でも関西弁を話しており、「1年かけて方言指導の方が教えてくれたおかげです」と説明した。
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中村は、以前に舞台版を観劇していることを明かし、「衝撃的でした。思い入れの強い作品で、キャスティングも私がしたいくらいでした」と興奮気味に語った。また、劇中、「花ちゃんが全速力で走るシーンで、力強く走ることがこんなにも悲しいんだと感じました」と印象も語っていた。
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作品を観て、若葉は「切なすぎて笑ってしまうほどのシーンもあるくらい感情がかき乱される。表裏一体というか。こんなに哀しくて面白いことってあるのかなって思いました」。森永は「もっといろんな選択もあるのに……と思いながら歯がゆい思いをしながら観ていました」。中村は「以前、日のあたらない人に光を当てた映画を作りたいという方がいて、そんな映画に携わることができて良かったなと思います」とコメントした。
戸田監督は「この作品は市子にかかわった人たちの目線で描いています。市子を理解することの難しさを描こうと考えて作りました。第三者の視点から市子が浮かび上がってきます」と語った。
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撮影時のエピソードを聞かれた杉咲は、本作のキーワードになっている“虹”について「クランクアップの日に、突き抜けるような青空に優しく虹がかかっていたんです。こういうものに守られて撮影していたのかなって……」としみじみ。
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自身の戯曲を映像化した戸田監督は「虹の絵が描かれたカットも出てきますが、それは美術部のアイデアです。どのように撮るか悩んでいた場面だったので、いいシーンになったと思います」とコメント。
最後に、杉咲は「この作品を観て、身に迫るものがありました。この作品をどう受け止めるか。何か自分たちの実生活に反映するような気がしていますし、この話は自分には関係ないと思っている人にこそ、この映画を観てもらいたい気持ちがあります。ご覧なって心が揺さぶられるものがあれば、その思いを広めて欲しい……」と真摯な想いを観客に伝えた。
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登壇者:杉咲 花、若葉竜也、森永悠希、中村ゆり、戸田彬弘監督
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
12月8日(金) テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
(オフィシャル素材提供)